易 タイトル


周易について

 今から3千年前、中国は周代であった。周代には占いについて書かれた書物としては「周易」、「連山易」、「帰蔵易」 の3種類があったとのことであるが、現存しているのは周易のみである。
 周易は初めは運勢を判断する言葉=筮辞(ぜいじ)を集めただけのものであったが、時代を経るにしたがって、筮辞の注釈や、易を統一的に解釈するための理論などが加えられて、現在の体裁を整えた。原型である周易と現在の完成された姿を区別するために、現存する書物は易経と呼ばれている。
 易経には、筮竹を用いて占った結果=卦についての説明が記載されており、当サイトの卦の説明も易経に記載されている内容に従っている。しかしながら易経自体が非常に古い書物であり、記述されている単語が現在の中国語とは大きく異なっていることや、記述が簡潔に過ぎて解釈が困難であったり、太古の時代に写本が作られた際の転記の誤りとみられる箇所などがあって、易経は総じて難解な書物であるため、古来から日本でも多数の学者によって多様な解釈が試みられている。このため、同一の卦であっても、流派や易学者によって卦の解釈が若干異なっている場合も少なくない。

yo_in.gif 筮竹による易の基本は剛爻(陽爻)と柔爻(陰爻)の2種類の結果から成り立っている。剛爻は男性、積極、剛健などを表し、柔爻は女性、消極、従順などを表す。
 この2種類を3本組み合わせると、右図のように2の3乗で8種類の組み合わせができる。これが八卦(はっけ)である。この八卦に自然現象を当てはめたのが象(しょう)である。象は後世になって複雑多岐となるが、最初は自然現象である乾(天)、兌(沢)、離(火)、震(雷)、巽(風)、坎(水)、艮(山)、坤(地)の8種類が用いられた。原始的な占いでは、この八卦によって吉凶を占ったものと推測されている。
 しかし後代になって、八卦だけでは単純すぎて、複雑な事象を占うことが困難であることから、八卦を重ねることによって六爻の卦を作る事が考案された。8の2乗の64通りの異なった組み合わせができる。また、各々の卦について、将来の変化を示す変化形(変爻)が6種類有るので、合計384通りの結果ができる。これが現在の易卦である。

【本筮法】
 50本の筮竹を左手に握り、その中から1本だけ抜き取る。この1本は「太極」といい、別の場所において使用しない。次に、残りの49本を心を静めて占う事柄を念じながらパッと二つに分ける。左手にあるものを天策、右手にあるものを地策という。最初に二つに分ける作業を第一営という。
 天策は左手に持ったまま、地策を机上に置き、その中から1本だけを拾って左手の小指と薬指の間にはさむ。これは人を意味する人策と呼ばれる。(第二営)
 次に天策を4本ずつ数えてゆき、余った1〜3本の策、割り切れた場合には最後の4本の策を、薬指と中指の間にはさむ(第三営)。それが終わると、机上に置いてあった地策をとりあげ、同じように4本ずつ数えて、あまりを中指と人差し指の間にはさむ。(第四営)
 こうして左手の指の間にはさんだ策を数えてみれば、その合計は必ず5本か9本のいずれかとなる。以上を第一変という。次に、この5本か9本を除いて、残りの44本あるいは40本の筮竹で、第一変のように四営を繰り返すと、今度は必ず4本あるいは8本が余ることになる(第二変)。さらにこれを除いて、もう一度四営を繰り返すと、指に残る策の数は今度も必ず4本か8本である。(第三変)
 三変まで行うと、指にはさんで除いていた策数の合計は、25、21、17、13のいずれかとなる。したがって、除かれずに残った策数は24、28、32、36のいずれかとなる。これらの数を4で割ると商は6、7、8、9となるが、6と8は陰(偶数)、7と9は陽(奇数)なので、残った数が24本か32本の場合には陰、28本か36本残った場合には陽となり、これで初爻が決定される。
 あとは同じことを繰り返して六爻を導き出す。1爻を定めるのに3変、6爻を定めるには18変を要するので、十八変筮法とも呼ばれている。

【中筮法】
 1本取り出して太極を立て、天策と地策とに分け、地策の中から1本とって人策とし、左手の小指と薬指の間にはさむまでは本筮法と同じである。その後、地策はそのままにして左手の天策を8本ずつ数え、その余りに、人策を加える。その合計が、1本の場合には乾、2本ならば兌というように割り当て、偶数ならば陰、奇数ならば陽と考える。これを6回繰り返して6爻を導き出す方法である。またの名を六変筮法という。

【略筮法】
 中筮法と同じ操作で余りの策数を出すのだが、偶数と奇数で陰陽を決めるのではなく、1から8本の残りの本数を乾、兌、離、震、巽、坎、艮、坤に当てはめて下卦とするのである。つまり3本残ったのであれば卦は離となる。これをもう一度繰り返して上卦を定め、2変で六十四卦を得るのである。
 次に之卦(しか)を求めるための操作を行う。太極、天策、地策、人策まではこれまでと同様であるが、今度は6本ずつ数えて行き、その余りに人策を加えた数をを変爻とする。仮に4本であった場合なら第4爻が変爻となる。変爻とは「変化する爻」で、陽ならば陰に、陰ならば陽に変化するのである。この変爻から得られた卦を之卦(しか)という。最初に得られた六十四卦(本卦)の中にはらまれている変化と見ることができる。
 本筮法はあまりにも長時間かかるのに対して略筮法は簡便であるので、わが国では略筮法が易占の基本となっており、日本の易者が普通に行っているのは略筮法である。
 なお、筮竹を8本ずつ数える場合には2本ずつ「春夏秋冬」と唱え、変爻で6本ずつ数える場合には「天地人」と唱えるのが一般的である。


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